Photo/Saori Kojima Text/Ayako Futatsuya
かつて江戸川区は、愛知県弥富市、奈良県大和郡山市と並んで金魚の三大産地として知られていました。その始まりは明治時代と言われていますが、時代の変化とともに次第に区内の金魚養殖業者は減少していき、現在残っているのは2軒。そのうちの1軒「堀口養魚場」の5代目、堀口英明さんは、生まれたときから金魚とともに歩んできました。
「子どもの頃は家の前にあった川で、(金魚のエサになる)ミジンコを捕まえていましたよ」と懐かしむ堀口さん。金魚のどんなところが好きかと尋ねると、「別に好きじゃないよ」と笑います。「パン屋とか本屋といったほかの自営業の人と一緒で、生家が養魚場だっただけ」。堀口さんにとって金魚は、目の前にいるのが自然なことでした。5人兄弟の長男に生まれ、4人の弟さんたちはまったく別の仕事に就いていますが、堀口さんは自分が継ぐのが当たり前だと思っていました「そういう育てられ方をしましたからね。ほかの仕事をするなんて考えたこともなかった」と言います。
堀口養魚場で育てられているのは、リュウキン、キャリコ、シュブンキン、ワキンの4種類。よい金魚を育てるための基本的かつ大切な作業が、親の選別です。すべて自分の目で見て、一つひとつ手作業で行います。「自分の思い通りにはいかないところが、金魚の魅力なんですよ」。堀口養魚場の良質な金魚を求めて、遠方から買いに来るお客さんも少なくありません。
金魚のことを地域の人に知ってもらいたいという想いは強く、区内の図書館でお話をしたり、養魚場を小学生が見学に来たりすることにも協力的な堀口さん。毎年7月に行船公園で行われる「金魚まつり」の実行委員長も務めています。金魚まつりは今年で46回を数えますが、実は堀口さん、第1回のスタート当時から尽力しているのです。「以前はデパートの屋上で品評会をやっていたんだけど、お客さんが来なくなっちゃって。もっと違うことをやろうと始めたんです」。最初のうちはお客さんもまばらで「昼寝をしていた」と笑いますが、今では例年数万人が来場する大きな人気イベントとなりました。
「たくさんの人に金魚を飼ってもらいたい」。池の中をなめらかに移動する赤い群れを見つめて想いを口にした堀口さん。金魚を「好きじゃない」なんて言ったのは、精いっぱいの照れ隠しだったように思えました。
※記事内容は2017年6月時点のものです
住所 | 〒132-0003 東京都江戸川区春江町5-25 MAP |
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電話 | 03-3675-6331 |
営業時間 | 9:00~17:00 ※販売は日曜のみ |
その他 | 7月22日(土)・23日(日)「第46回金魚まつり」が開催
会場/行船公園 TEL. 03-5662-0539 江戸川区生活振興部 産業振興課 農産係まで |