小さな猫のぬいぐるみに「バイバイ」と寂しそうに手を振る女の子。どうやら大事にしている、ぬいぐるみのしっぽが動かなくなり、修理のためしばしお別れとなったようです。
ここは、浦安クリーンセンター内ビーナスプラザで開院している「おもちゃの病院うらやす」。その名の通り、壊れたおもちゃを直してくれるボランティア団体が運営する修理工房です。東京湾を望む明るい室内には、所狭しと工具やモーター等の部品が並び、約10名のTOYドクターたちが壊れたおもちゃの診察をしています。
1997年に発足し、これまでに直した数は、約9000個。その種類も時計や五月人形、ドローンとさまざまです。運ばれてきたおもちゃは、まず、受付カウンターで治療控えという名のカルテを作成します。その後、その場で直せるおもちゃ以外を預かり、約1カ月かけて、ボランティアのドクターたちが修理をします。
「入院するおもちゃと別れるのが嫌で泣いてしまうお子さんもいますよ」と話すのは、4代目の代表を務める福原さん(写真後列右から3人目)。
やりがいを伺うと「壊れたおもちゃが直って、元気に動く様子を見たとき、子供の喜ぶ笑顔を見ることですかね。もともとモノづくりが好きなので、楽しい時間を提供してもらっています」とほほえみます。
現在「おもちゃの病院うらやす」で活躍しているドクターは16名。
TOYドクターになったきっかけを伺うと「定年を迎え、第二の人生を考えたときに昔からやりたかった、おもちゃの病院で働きたい!とこの工房を訪れました」と、皆が口を揃えて答えます。
「おもちゃの病院」は、日本おもちゃの病院協会が支援する、ボランティア団体で現在の登録数は711。ここ浦安は、千葉県でいちばん最初に発足した歴史のある団体で、市内はもちろん市外からもドクターの研修のため、多くの方々が訪れます。
最近は、電子化されたおもちゃが多く、修理も複雑になっているそう。
「経験豊富な先輩ドクターと治療方針を決めて修理に当たります」と知恵を出し合い、可能な限り修理をしますが、なかには、直せないおもちゃもあります。
「壊れたからといって、新しく同じものを買い与えてもダメなんです。子供たちは、自分のおもちゃに愛着があるんですね」と、優しい表情で語る福原さん。時代とともに修理に持ち込まれるおもちゃの種類が変わっても、おもちゃを大切に思う子供たちの姿は、今も昔も変わらないようです。
※この記事は2024年9月20日現在のものです
住所 | 〒279-0032 千葉県浦安市千鳥15-2 ビーナスプラザ4F 多目的工房 MAP |
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電話 | 047-382-8787 |
営業時間 | 13:00~15:00 |
定休日 | 活動日はホームページより |
その他 | アクセス/舞浜駅より20系統クリーンセンター・千鳥循環東京ベイシティバスでクリーンセンター下車すぐ |