Photo/Kitchen Minoru
Text/Satoko Nemoto(Sawa-Sawa)
松崎秀樹さんといえば、浦安市で5期目の市長を務める強いリーダー。学生時代は武道三昧だったと聞き、古流の武道のひとつ、杖じょう道ど うを披露してもらいました。
浦安市運動公園の総合体育館に現れた市長は、急所のみぞおちを守るという厚手の道着姿。長さ約130㎝ の棒である杖じ ょうを自在に操って、相手の木た刀ちを払い、のどを突き、頭を打つ…流れるように美しく力強い所作です。市長は杖道だけでなく、空手道、居い合あい道ど う、剣道、弓道も有段だそう。なぜ武道を始めたのでしょうか?
「学園紛争の時代、最も過激だった明治大学の学生でした。授業に政治が持ち込まれ、思想に抵抗すると武力で抑えつけられるのが嫌でね。自分の身を守るために空手部に入ったんです」
杖道は機動隊や本部道場で教わり、大学に杖道部を創設するほどのめり込みました。市長の説明によると、杖道の起源は約400年前。「薙な ぎ刀な たや槍や りは刃先を折られるとただの棒。それでも戦うために考えられたのが杖道です」。その魅力は「突く、払う、打つ、と多彩な攻撃ができること」。自分の体がどこまで有効に動くか、その可能性が面白いそうです。「武道全般に言えますが、強くなるにはいかに無駄な動きを排して、力を一点に集中させるかが重要。力を抜くことで動作が早く、美しくなるのです」
浦安市もスポーツに力を入れていて、話をうかがった運動公園も施設を増設中です。来年は野球場が完成予定。そして、東京オリンピックの追加種目を見込んで3倍の規模に拡張されるのが、公営施設としては珍しいスケートボード場です。
設置のきっかけは、夜中の駅前でスケートボードに興じていた若者に市民から苦情があり、市長が声をかけたこと。「話を聞くと、彼らは真剣にやっているんです。『それなら大人の行動を』と陳情請願のシステムを教えたら、10日で800人の署名を集めてきたんですよ」
市長として多忙を極める今、好きな杖道は「自宅で夜な夜な素振りをする程度」と残念そう。「時間ができたら再開したいですね」
※記事内容は2015年10月時点のものです
【編集担当/osa】
武道は、杖道が五段のほか、居合道、空手道、剣道、弓道も有段者という市長。取材時は、楽しそうに武道について語る姿が印象的でした。最近は薙刀にも挑戦を始めた!という話も飛び出し、あふれ出る活力・行動力に驚きの連続でした